小説「あん」の中の一節

眠れない日にはベッドに入ってから静かな音楽などを聴いていたけれど、考えごとをしたくない日には朗読を聴いて入眠します。

エッセイ、雑学、推理小説、時代小説、、、

たいていは途中で寝入ってしまって、結末が分からないままのものもありますが、それはそれで愉しんでいます。

ドリアン助川さんの「あん」も、途中まで聴いたきりで気になっていたので本屋さんで見つけて読みました。

70を過ぎた徳江さんという女性が描かれています。

映画化もされていて樹木希林さんが演じていると知ると、さらにその生き方に重みが与えられるような印象です。

徳江さんも絶望と苦渋に満ちた人生を送られてきた方です。

その中にこんな言葉がありました。

 

「でも、だから私、お菓子を作ってきたのね。甘い物をこしらえて、涙を溜め込んだ人に食べてもらってきたのです。そしてそれで、私も生きられたのです。」

 

大げさではないな、と思いました。

いつもそんな壮大な気持ちで作っているわけではありませんが、

それでもわたし自身、お菓子を焼くことで救われてきたことがたくさんありました。

もしかしたら他の仕事をしている方もみんな多かれ少なかれそうかもしれません。

どんなに孤独が好きな人でも、人は誰しも繋がりの中で生きて生かされていますから。

 

オンラインでお買い求めくださったお会いしたこともない方が

「今日帰ったら届いているかと思うとこれで今日もお仕事がんばれます!」

と言ってくださったりすると、私だけではない、みんなそうやって口に出せないことも抱えながらがんばって生きているんだと元気を頂いて、自分も元気を与える側になれていることに幸せと感謝を覚えます。

辿り着いてくださったご縁にも素晴らしさを感じています。

 

残念ながら世の中には、大切な人の笑顔を奪ったり、悲しませたり苦しめたりして生きている人もいます。

知らない間に自分もそうであるかもしれなくても、

気を付けてそんな風に生きていたくはないし、

笑顔や元気を与える存在でありたいと、そんな風に思っています。

 

会って心が弾む人がいます。

逆に気が滅入る人、エネルギーを吸い取られる人もいます。

ただ居るのなら、前者のような人に憧れますし、そうなりたいなーと願っています。