手作りが贅沢な時代

地元の人たちに愛される食堂がありました。

先代の「お金がなくてもお腹いっぱい食べさせてあげたい」という心意気そのままに、初めて行った人は看板メニューのおかずが「チョイス」ではなく「すべて」ついてくることにまず驚きます。温かい食堂でした。

諸事情により惜しまれつつ閉店してしまい時代の流れを感じたものですが、店主がお休みに久しぶりポテトコロッケを作って届けてくれました。

大振りなコロッケを一口食べてあの食堂の味だ、と懐かしさが蘇りました。

こんな手作りコロッケを食べるのはいつぶりだろう?自分の幼少期には、母や姉や弟と、ジャガイモを茹でて潰して衣をつけて揚げて、、、とほぼ半日仕事で作っていました。クリームコロッケすら作りました。

ところが今は、コロッケはスーパーのお惣菜売り場で50円から手に入ります。

コロッケや餃子を作るのは、気持ちや時間や予算に余裕がある時であり、イベントになってしまいました。

家で作るショートケーキやパンも、買った方が安いです。

(その昔、息子たちのためにグミやラムネも作りましたが、買った方が安くて美味しいものがあることを知りました。それはまた別の理由ですね。)

 

 

 

 

 

 

 

 

今、服やマスク、エコバック、お菓子も、手作りの方が高いです。

今は家族の人数も少なくて、たしかに不経済ですからスーパーのお惣菜売り場に人が群がるのも分かりますし、100円ショップの品も売れています。

もちろん両方社会にとって必要です。

 

それでも、買ったものと作ったものはどこかやはり違う。

買ったものの方が完成度が高かったとしても、尺度はそこではないことが多い。

その感覚がどれだけあるかないかで、人の選択はこの先二分化されていくと思います。

せめて自分らしい感覚が求める部分では、心の贅沢ができたらと思います。