お寺で日本画鑑賞 〜阿吽のこと

日展の審査員でもいらっしゃる日本画家の岸野圭介先生より

今年もご案内を頂いて、母と安曇野のお寺まで先生の作品を見に行きました。

先生は別の教室にお出かけでご不在でしたが、

貸し切り状態の中、ゆっくりと奥さまの説明を伺いながらの鑑賞をたのしみました。

作品のための下絵を「小下図」というのですね。幾つか過程を比べて見ることができました。

 

こちらの布の展示はなにかと思いましたが、、、

この髑髏の絵を描くために先生がなさったことだそうです。

髑髏に紫色の布がかかっていますが、どうもイメージ通りの布がない、と骨董市を回りそれらしいものを入手し、

庭で石で叩いたり燃やしたりして、昔の蛾なのか蝶なのかの絵を描き、古い布に変身させたものを作品に用いたのだそうです。

 

日本画も、型通りではなく創作のためには新しい方法がいくらもあり、また実際試してみるその姿勢に感服。

70歳を超えての制作活動におそれいります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところで寺の門の両側に立ちはだかるような仁王。

向かって右が口を開き、左が口を閉じ、合わせて「阿吽」と言いますね。

 

 

 

ちょうど住職とすれ違ったので尋ねてみると、

「阿吽は、始まりと終わり、光と影、表と裏」と仰るので

最近何となく頭を占めていた

「エネルギーには陰陽があるけれど、辛いので陽だけでよいのにと思う」

と言うと

「では陽、幸せと感じられるのは何があるおかげか」

と問われ、瞬時におお、と胸に落ちました。

陽だけで生きている人はいなく、隣の芝生と思うのですが

頭で分かってはいるけれどやはり辛い時は切なくなるのが人間ですよね。

 

そんなことを問答していたら

涼しい顔でにゃんこが通りました。

養老先生もおっしゃっていたけれど

動物や自然って人間関係に揉まれることがなくていいなって思います。

(動物は動物なりにもちろん大変でしょうけれど)

 

暑い日でしたが、お寺に漂う清浄な時間をゆっくり吸い込んで

とても素敵な時間を過ごすことができました。

来年は、安曇野市に初めて日展が来るのだそうです!

(東京で8月に開催された入賞作品がきます)

松本市にはー20年前に2度来て以来のこと。楽しみです。

 

なんとも会場にマッチした作品、と思ったら雑草だとか。

タケニグサというのだそうで、活けてからもどんどん伸びているそうな。